もえぎの忘備録

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『死都ブリュージュ 』 ジョルジュ・ローデンバッハ

の画像

冥草舎  窪田 般彌訳

BROUGES-LA-MORTE 1892 Georges Rodenbach

 先日、何処だったか 大手書店の文庫平台に

赤帯岩波文庫の これ が積み上げられていました。

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/32/2/...

 

重版がかかった様子もなく 今頃何故に…

判りました。2005/4/15日(金)~6/12(日)

BUNKAMURA で ベルギー象徴派展 がありますね。

画家フェルナン・クノップフ その他 

多くの同時代の芸術家たちが このお話に魅了されました。

 

書棚に眠ったこのうつくしい本を取り出して頁を繰ると

若気の至り かつて炊き込めた香が微かに馨ります。

さてさて このお話 

曇天の灰白の空を眺めていると浮かんでくる物語

 ゆうぐれの冷たい石畳に沁み入る弔鐘の音

暮れ方のなずむ光が齎すレエスの帷につくるほの白さ

にびいろの写し鏡 

堀割りの水辺に映る古い修道院は

しだいにその姿を冥い水底に沈めてゆく

 

死んだ妻の面影が 廃市ブリュージュ に溶け入り

ゆうぐれに彷徨する主人公ユーグは

妻の亡霊を街に見出そうとする

ユーグにとりこまれた 妻の生き写し 踊り子ジャヌは

 亡き妻の髪で締め上げられて窒息する女

 

ローデンバッハの憂愁と頽廃

「黄 昏」上田 敏訳『海潮音』所収も頷けます。

 福岡・春の柳川にでも行ってみたくなりました。

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/...