もえぎの忘備録

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李賀歌詩編 1 東洋文庫645

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蘇小小の歌 原田憲雄 訳注 平凡社

中国唐代の詩人 李賀(791-817) 字(あざな)は長吉 河南の人

27歳で夭折 「ナクヒトハイイナ と覚えましょう。」

 天才絶 は 李 白

 人才絶 は 白居易 

 鬼才絶 は 李 賀

 「鬼」とは中国語で死者、亡霊を意味し、

鬼才とは超自然の事物によって神秘を醸し出す異常感覚者を指します… と、

夏ともなれば、白リネンのスーツにパナバ帽が似合う老センセイ(専門は英文学)は謂いました。

 

 幽蘭 の 露  啼く眸 の ごと

 同じ心 結ぶものなく

 けむる花 切るに忍びぬ

 草 は しとね  松 は 傘

 風 は もすそ  水 が 帯玉

 おんな車 は ひさしく 待つ

 冷たき やり翠 の つかれた ともし火

 西陵 は  雨 しぶく風 「 蘇小小歌 」

  

   別 浦 今 朝 暗  別れの渚 は 今朝から 暗く

   羅 帷 午 夜 愁  とばりを垂れて 真夜中 愁う

   鵲 辭 穿 線 月  かささぎ去って 針まつる 月

   花 入 曝 衣 楼  花が舞い込む 衣ほす楼

   天 上 分 金 鏡  天で割れた 金の鏡

   人 間 望 玉 鉤  世の人は 玉の鉤 と 眺めるだけ

   錢 塘 蘇 小 小  錢塘 の 蘇小小

   更 値 一 年 秋  また会ったのは 一年の秋 

   「七 夕」 原田憲雄訳 より もえぎ改変

 

蘇小小歌 来るはずのない恋人を永遠に待ち続ける

不幸な恋に死んだ 女の魂魄

原田氏によれば、古い時代の楽府作品に「蘇小小歌」というものがあり

蘇小小とは、南朝の斉(479-501)頃の名妓で、歌の作者でもあるという。

 

永年の積読本  時折なんの脈絡もなく頁を繰る

つくしく 冥い 漢語が居並ぶ 李賀の歌

 願わくば、故 齋藤磯雄先生に訳して戴きたかった…

 近代西欧詩の訳詩集を眺めていると 

少なからず訳者の漢詩の才に思い至らざるを得ず

視覚言語でもある「大漢和辞典」の海に耽溺するには

修行僧の覚悟が必須か…

 http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/...