もえぎの忘備録

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『芳 惠』 藤島武二

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芳 惠 ほうけい 1926(大正15)年 63.3×51.5cm 油彩カンヴァス

第1回 聖徳太子奉賛会展覧会出品 藤島59歳時の作

 

この国の西洋画の歴史は、かれこれ100年足らず

黒田清輝藤島武二が、創設時から東京美術学校西洋画科の指導者であり、官展画壇の中枢に居続けた理由として共に薩摩出身である事をも考えると明治という時代の政治力が垣間見えて面白い。

 

 作家の実人生など鑑賞者には関係ない

 作品そのものから受け取ることのできる作品の力

 それのみを問題にすべきだ

       …と豪語していた知人の声が掠め飛ぶ

定まらぬ物憂げな視線を投げる真横顔の婦人

贅沢に宝石をあしらった髪飾りと

華麗な刺繍が施された中国服

藤島が青年時より求め続けた装飾美を表現した逸品 

この構図はやはり西洋画の影響か

ピサネッロ、ピィリッポ・リッヒ、アレッシオ・バルドビィネッティ

ボッティチェッリ、ポッライオーロhttp://www.tobikan.jp/museum/... などにも装飾的婦人肖像の横顔作品が見られる。

背景の雲…有元利夫作品にもこんな雲があったか…

 

藤島作品の秀作は、以下浪漫派絵画に代表される。

天平の面影」1902年ブリジストン美術館 重要文化財

「蝶」1904年

 文藝雑誌「明星」「スバル」の表紙・挿画

 与謝野晶子『みだれ髪』表紙

「黒扇」1908~09年 ブリジストン美術館 重要文化財

http://www.ishibashi-museum.gr.jp/...

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/...

 38歳より渡欧(1905~10)帰国後は、

影響を受けた印象派後期印象派風の風景作品等を発表するが、殊に女性の肖像画に秀作が見られる。1926年、前年には治安維持法が公布施行。1943(昭和18)年 78歳没

 「蝶供養帖」1906年 2000頭に及ぶ蝶・蛾の写生帖は、

「蝶」http://www2u.biglobe.ne.jp/...の習作と考えられている。